稽古初日
今日は本稽古初日。7月の創作ワークショップで顔合わせはしていて、初めて会った方ばかりではなかったけれど、それでも少し緊張した。その創作ワークショップもとても面白かったけれども、それはまた別のお話。夏を挟んで、久しぶりに再会したみなさんは近況を報告しつつ、柴さんの話を楽しそうに聞いていた。ちなみに、今日の柴さんは、『わたしの星』という高校生と一緒に作った劇の千秋楽からたった1日。大人のばかりの現場は、ちょっと居心地が悪いとか。
『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』のテーマは、距離。2劇場を使って、役者が双方の劇場を行ったり来たりしながら、劇は進んでいく。今回の柴さんの作品は震災から距離というテーマにたどり着いた。柴さんは東日本大震災当時、岐阜に居て、揺れを感じなかったからか、東京にいた人とも、震災の話について、何か体感が違ってしまうことに気づき、もしかすると人間が共感をするためには距離的な限界があるのではないか、という仮説にたどり着いた。
こんなを話を聞いてたのだけれど、確かに、そうだよなあと思った。大人になると、世界は遠くまで広がるのに、近ければよくわかるし、遠ければよくわからないのは子供の頃と変わらなくて、やっぱり遠くの悲劇と近くの悲劇だったら、当然近くの悲劇の方がよくわかるし、共感できる。どんなに飛行機や新幹線で楽に移動ができるようになっても、やっぱり距離は距離で、人と人の間に存在している。
柴さんはこの作品を悲しいものにはしたくないと言っていたから、きっと悲しい作品にはならないだろう。これから、この作品は遠くのことをうまく想えない、人間の欠陥みたいなものを、どんな風に描いてゆくのか、楽しみだ。
フェスティバルトーキョー17主催プログラム
『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』
作・演出 柴 幸男
同じ時間、二つの場所で紡がれる物語。隣にいても遠い「距離」から見わたす未来
2017年10月7日[土]- 15日[日]
東京芸術劇場 シアターイースト/シアターウエスト
詳細、チケットの購入はFT公式ホームページへ