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国際共同製作特集:台湾と日本を繋ぐ

『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』はF/Tと2019年開館予定の台湾の台北パフォーミングアーツセンターとの共同製作作品になっております。2018年には台北芸術祭のプログラムとしてリ・クリエーションし、上演する予定です。

なぜ、今回の作品は国際共同製作となったのでしょうか?台湾共同製作特集では、台湾とのコラボレーションに至った経緯や台湾のアーティストとしてこの共同製作に関わる方々について、3回に分けてお伝えしていきます!

第一回は、本作の国際共同製作をコーディネートされている新田幸生さんにお話を伺い、共同製作に至った経緯や、台湾の方から見た日本演劇の印象について教えていただきました。

(聞き手:F/Tインターングンナレ更)

新田 幸生

日本生まれ台湾育ちのプロデューサー。国立台北芸術大学大学院アートマネジメント修士課程卒業。フリーの舞台制作者として、演劇とダンスの舞台制作やフェスティバルの制作に関わり、台北を中心に日本やアジアとの国際交流を深めるプロジェクトを数多く手がける。現在は台湾のShakespeare's Wild Sisters Group、Huang Yi Studio +などのプロデューサー、台北芸術祭、台北フリンジ、台北子供芸術祭の広報担当を務めている。

***

インターン:どのような経緯で、台湾との共同製作に至ったのでしょうか?

新田さん:最初に柴幸男さんに会ったのは、ままごとの「わが星」(2015年・再々演)を観た後です。青年団の野村政之さんに、この人の作品は面白いですよ、と紹介されて観に行きました。僕が台湾と日本のハーフということもあり、実際に柴さんの作品を観た後で、これは日本のみで公演するのはもったいない、国際共同製作をすれば柴さんのことを海外の人にも紹介することができると考えました。それで公演後に柴さんと挨拶して、台湾との共同製作を提案したんです。その時、僕自身は『わが星』の台湾公演とか台湾版の創作企画を考えていたのですが、同じ年の年末にもう一回打ち合わせした時に、「来年、F/Tで共同製作をやるので新作をつくりませんか」と提案がありました。それで、やりましょうって。多分、その時から今回の作品は始まっていたんですね。

インターン:来年には『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』(以下、『WKAT』)の台湾公演も行われることになっていますよね。今回の台湾側のスタッフを務めていただくアーティストに今作のアイデアを話した時、彼らからはどのような反応が返ってきましたか?

新田さん:本当にできるの?と、まずみんな質問かな。距離的には台湾と日本はあんまり離れていない、ある意味では近いですよね。でも、お互いの国の演劇のことは何も知らない。そのような状況なので、『WKAT』の台湾公演をやることが決まった時に、やっぱりこの作品の前に台湾のお客様に柴さんのことを紹介しておきたいと考えました。

インターン:今年の7月に行われた、台南での演劇ワークショップですね。

新田さん:そうです。台南というのは、台北から新幹線で90分くらい離れたところにある都市なのですが、そこで高校生対象の、16歳演劇祭というフェスティバルが開催されているんです。それから、柴さんも『わたしの星』という作品を高校生と一緒にやっていますよね。この「高校生」を共通点として、柴さんが日本の高校生だけでなく台湾の高校生とも一緒に何かできるなら面白い、と思ったんです。そのことを柴さんに言ったら、「あ、いいなあ、台南なら行きたい」と。

インターン:え、なぜですか?

新田さん:柴さんは以前、違う場所との距離感の台本リサーチのために台南に来てくれたのですが、その時に、街の雰囲気だとか、食べ物をすごく気に入ってくれたんです。それで柴さん自身も台南で何かやりたいということで、じゃあやりましょう、特に高校生と、ということになりました。だから今回は、ワークショップに参加した人はほぼ全員高校生。

台南でのワークショップの様子
台南でのワークショップの様子

△台南でのワークショップの様子      

インターン:では、このワークショップは『WKAT』台湾公演の準備という意味合いもあって行われたのですね。

新田さん:はい。このワークショップと公演は、それぞれ別のイベントみたいな形ですけど、僕にとっては実はひとつのシリーズで、繋がっています。台湾では日本の演劇はあまり知られていません。日本のお客さまが、今台湾で流行っているもの、演出家とか、台本作家とかデザイナーさんとか、全然知らないように、台湾のお客さまも、鈴木忠志さんとか、平田オリザさんとかしか知らない人が多い。だからこそ、事前に台湾のお客様に柴さんのことを知ってもらいたいと考えました。

インターン:平田オリザさんは今年2月の『台北ノート』で台湾との国際共同製作をされていますね。なぜオリザさんは知られているのでしょうか?

新田さん:それは多分、台北芸術祭のおかげです。オリザさんが台湾に来るのは今年で3回目になりますが、初めて来た時は誰もオリザさんのことを知らなかったですよ。

インターン:では柴さん自身も台湾では知られていない?

新田さん:誰も知らないと思います。

インターン:じゃあ台湾では、これからですね!!

新田さん:そうですよね。

***

次回以降3回に分けて、共同製作に関わる台湾のアーティストについて詳しくご紹介していきます!

 

フェスティバルトーキョー17主催プログラム

『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』

作・演出 柴 幸男

同じ時間、二つの場所で紡がれる物語。隣にいても遠い「距離」から見わたす未来

2017年10月7日[土]- 15日[日]

​東京芸術劇場 シアターイースト/シアターウエスト

詳細、チケットの購入はFT公式ホームページ

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