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インターンによる柴さんゆるっとインタビュー②

インターンによる柴さんへのインタビュー企画、第2弾もグンナレ更が担当します。稽古の近況も聞きつつ、今回は、追加キャストとして多摩美術大学の現役大学生の小山薫子さんと鈴木正也さんが発表されたことにちなんで、学生について柴さんに聞いてみました。

 

グンナレ: 前回のインタビューから実は3日しか経ってはいないんですが、最近の稽古はどうですか?

柴さん: 最近の創作はいつもそうですけど、一回終わりまで作った台本はたたき台で、用意していたルートを一度捨てて、いよいよ本当のエンディングをどうするかなんですね。今は次に向かうためのアイディアが出てきたので、少しずつ進んでいるという感じですね。

グンナレ: 最後の曲がまたゆったりとしていていいですよね。

柴さん: そうなんですよね。結構曲がゆったりした展開なので、演劇もゆったりしています。後半は生まれた人間が死ぬ老年の話なので、畳み掛けるんじゃなくて、ラストはすごくゆったりしつつも展開を大きく終われたらいいなと思っていました。それが音楽とあってるので、そのイメージで作りたいですね。

グンナレ: 最近の稽古では音にはめていくことが多いと感じるのですが、それは柴さんが音楽に寄せているんですか?

柴さん: 僕が寄せています。普通音楽家の人が稽古場に来て、演劇ができてから曲を当ててくじゃないですか。逆ですからね。音楽が先に20分ぶんあって、それに合わせて台本を書いているので。でも、あるタイミングでどんどん、勝手に合っていくんですよね。僕もそんなに合わせようとは思っていなくて、僕がなんとなく作ってきたものと音楽が合わないな、でもこうしたらどうだろうとずっとやっているうちに、ピタッピタッピタッとハマっていくような感覚が生まれる。今はその時期ですね。60分ぶんの台本をなんとかシーンずつ並べて、60分ぶんの音楽と同時に流していたというのが、音楽とうまく一個になってきているので、割と細かく決められるようになりました。今までは、本当に演劇的にもこのシーンの展開でいいのか、音楽的にもこの曲の展開でいいのかというのを模索している状態だったのが、細かく音楽と一体感を作っていけるようになってきています。

グンナレ: パズルのピースがはまってきているんですね。次の稽古からの課題はありますか?

柴さん: もうラストまでが出来上がると思うんですよ。それができて、もう1回頭からの流れを確認する作業をして、あとは劇場入ってからですね。稽古場だと、隣り合ってやっているということを、イメージしつつできているんですけど、これが実際隣り合った劇場でやるとどうなるのかなぁ……という感じですね。それをちょっと劇場に入って確認したいというのはありますね。

グンナレ: 劇場入りも近づいてきて、稽古も本当に佳境ですよね。そんな『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』には、学生も多く参加されてますよね。

柴さん: 確かにそうですね。僕は年上の人を書くのが少し苦手なのか、あんまり僕が書く劇に自分より歳をとった人たちが出てこないんですよね。そうなると必然的に若い人たちのキャスティングが多くなっていくところはちょっとありますね。書く劇が変わればベテランの俳優さんを呼ぶこともあると思うんですけど、全体的には若くて、ピンポイントで年齢が上の人を呼ぶことが多いですね。でもそれは多分作り方とか書いている劇の傾向だと思います。どうしても試しながら作ってしまうことが多いので、トライアンドエラーに耐えてくれる人、つまり比較的精神的に若い人というか、本人も未知の領域が多い人の方が色々試しには慣れてますよね。決まったことをやってくださいっていうのは経験がある人には話が早いんだと思うんですけどね。若い人はきっとむしろ言われてもできないと思いますから。本人も僕も試していくということで割と若い人と利害が一致するのかなってところはありますね。

グンナレ: 柴さんはどんな大学生だったんですか?

柴さん もう演劇やってましたね。演劇やりたくて日大芸術学部に行って、でも僕は放送学科だったので、演劇学科の友達を探して作って、彼らが作る劇団にまぜてもらって一緒にやっていました。放送学科では授業もやったしゼミも取ったし卒論もやりましたけどほぼ演劇をやっていた記憶しかないですね。でもすごく楽しかったですね。楽しいというかいい思い出として残っていますね。すごい自由で。一人暮らしもできたし、大変でしたけど、大学生になるまで憧れていたというか獲得したいなと思っていたもの、自分の時間とか、一人の場所とか、部屋とか、演劇をする場所とか、そういうものが初めて全部用意された環境だったのですごく楽しかったですね。

グンナレ: 『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』にも演劇を作りたいと思っている学生が観に来るだろうと思っているのですけど、学生がたくさん関わっている現場があるということは夢があることだなぁとわたしは個人的に思っています。

柴さん: 僕も3、4年生の時は将来への不安みたいなのはありましたよ。大学2年生が一番自由で自由を謳歌してたんですね。3、4年はやっぱり楽しいけど不安になりますよね。

グンナレ: そ、そうなんです……。わたし含め、周囲の友達も3年生になって焦り始めているので、とても切実です……。柴さんにもそういう葛藤があったのですね。

 

柴さん、今回もインタビューありがとうございました!

実は『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』はキャストの藤谷理子さん、小山薫子さん、鈴木正也さんはじめ、映像素材を作ってくださっている曽根宏暢さん、エントランス空間を一緒に作ってくれているF/Tサポーターの方たち(詳しくはこちら)など、大学生もたくさん関わっています。劇場の仕込みなどにもたくさんの学生が手伝いに来てくださるそうです。F/Tインターンになるまで東京芸術劇場とかフェスティバル/トーキョーとか、柴幸男さんとか、とても自分から遠いところにある気がしていたけれど、自分たちと地続きなところにある、たとえ遠くても、辿り着けないところではないことがわかったことが実はわたしにとっては大きな発見なのでした。まだ学生だからと尻込みしないで、学生だからこそ飛び込んでみることも大切なのかもしれません。『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』が悩める学生にも届くといいなと思います。

次回のゆるっとインタビューは小林春菜が担当します。お楽しみに!

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